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経営者の話に耳を傾ける営業支援者。営業ヒアリングで相手の言葉の背景を考える場面。

営業のヒアリング力を高める「聞く・聴く・訊く」|腹落ちするまで訊く実践法

執筆者の写真: 柴田義治
柴田義治
9月30日
読了時間: 5分

営業のヒアリング力を高めるには、質問の数を増やすだけでは不十分です。相手の話を聴き、課題の背景を理解し、自分の中に残った疑問を確かめることが欠かせません。この記事では「聞く・聴く・訊く」の違いを整理し、売上・採用・資金繰りの相談例を通じて、実務で使えるヒアリングの進め方を解説します。


相手の答えを受けてすぐに解決策を返すと、前提を取り違えることがあります。必要な事実を確かめ、自分の理解が腹落ちするまで訊くことで、思い込みや認識のずれに気づきやすくなります。


この三つの「きく」を営業ヒアリングでどう使い分けるか。ここでは、売上・採用・資金繰りの相談を例に、相手の話を理解し、課題を整理するための進め方を見ていきます。


営業ヒアリングで使い分ける「聞く・聴く・訊く」


「聞く」は、相手の言葉や情報を受け取ること。「聴く」は、相手に注意を向け、言葉の背景まで理解しようとすること。「訊く」は、疑問を相手に尋ね、分からない部分を確かめることです。


営業ヒアリングで「訊く」ことが大切なのは、質問の数を増やすためではありません。自分の理解に曖昧さが残るとき、そのままにせず、腹落ちするまで確認するためです。


ただ、訊くことだけを急ぐと、相手の話を受け止める前に質問を重ねてしまいます。質問が途切れない会話でも、相手の気持ちや本当の困りごとを理解できているとは限りません。


「分かったつもり」で次の質問をしていないか


相手が話す。私はうなずく。「なるほど」「分かりました」と返す。そして次の質問をする。やり取りはスムーズでも、相手の言葉が出てきた背景や、まだ言葉にできていない悩みまで聴けているとは限りません。


たとえば、経営者から「売上が落ちている」と聞いたとき、すぐに「営業を強化しましょう」と答えるのは簡単です。しかし、売上が落ちたのはいつからか、どの商品や顧客に変化があるのか、価格や競合、社内体制に何か変化があったのかを確かめなければ、原因を取り違えるかもしれません。


「人が採れない」という相談も、採用方法だけの問題とは限りません。必要な人材像が定まっているか、入社後に定着できているか、現場の負担や仕事の伝え方に問題がないか。相手の言葉をそのまま答えとして扱わず、背景を一緒に見ていきます。


「資金が厳しい」と言われた場合も、いつから厳しくなったのか、入金と支払いの時期にずれがあるのか、一時的な要因なのか、毎月続く構造なのかで、次に確認することは変わります。


こうした例は、すぐに正解を当てるためのものではありません。表面の言葉だけで結論を出さず、相手と一緒に事実を確かめるための入口です。


営業のヒアリングは、質問の数ではない


相手から必要な情報を引き出そうとして質問を続けると、ヒアリングが尋問のようになってしまうことがあります。私が意識したいのは、質問の数より、相手の言葉を受け止めて考える時間を持つことです。


  1. まずは相手の話を最後まで聴き、すぐに解決策を返さない。

  2. 相手の言葉を自分なりに整理し、「こういう理解で合っていますか」と確かめる。

  3. 言葉の背景について仮説を持つ。ただし、仮説を事実のように扱わない。

  4. 仮説を確かめる質問を一つずつ重ね、相手の認識とすり合わせる。


「つまり、こういうことですか」と確認するときも、こちらの理解を押しつけないようにします。「違っていたら教えてください」と添えるだけで、相手が訂正したり、もう少し話したりしやすくなることがあります。


分かったふりをせず、自分が腹落ちするまで確かめる。

AIに何でも訊ける時代だからこそ


今は、分からないことをAIにすぐ尋ねられます。質問の仕方を工夫すれば、幅広い案や整理の仕方を得られます。一方で、何を知りたいのか、自分はどう考えているのかを整理しないまま質問すると、返ってきた答えをそのまま受け取ってしまいがちです。


人との対話でもAIとの対話でも、問いの前に考える時間があると、返ってきた答えを確かめやすくなります。AIを使うときも、相手に訊くときも、「自分は何を理解できていて、何が分かっていないのか」を一度考えてから問いを立てたいと思います。


営業ヒアリングで「分かったつもり」を防ぐ


自分の中に疑問や曖昧さが残っているなら、そのまま話を進めずに確認します。「ここがまだ自分の中で整理できていません。もう少し教えてください」と伝えることも、営業のヒアリングでは大切です。


また、相手の話を自分なりに要約して、「私の理解では〇〇ですが、合っていますか」と確かめます。相手に訂正してもらうことで、思い込みや認識のずれに気づけます。


ヒアリングの目的は、質問を重ねることではなく、相手の状況と課題を正しく理解し、次の提案につなげることです。自分が腹落ちするまで訊く姿勢が、その土台になります。


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執筆者


柴田義治(経営実行支援株式会社 代表取締役)。みずほ銀行で11年、上場子会社の代表取締役・CFO・営業本部長などを経験。銀行、不動産、IT、通信販売、冷凍食品、建設土木、介護の7業界で、M&A、企業再生、新規事業の実務に携わる。現在は社長の右腕として、計画づくりだけでなく現場実行まで支援している。


ヒアリングを、課題整理と実行につなげるために


経営実行支援株式会社では、経営者との対話を通じて課題を整理し、営業、資金繰り、組織、事業計画など、現場で実行するところまで支援しています。自社の課題を整理したい方、次の一手を一緒に考えたい方は、まずご相談ください。


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