銀行が本当に知りたいこととは?
更新日:3 日前
金融機関が本当に知りたいのは、「返済できるか」ではなく、「これからどうするのか」です。
「銀行へ相談したら、もう終わりだ。」
企業再生の相談を受けていると、この言葉を何度も耳にします。
返済が遅れ始める。
資金繰り表を見るのが怖くなる。
銀行から電話が鳴る。
そのたびに、
「もう少し待ってもらおう。」
「来月になれば何とかなるかもしれない。」
そう考えながら時間だけが過ぎていきます。
しかし、私が都市銀行で企業再生・不良債権業務を担当していた頃、最も困った案件は、
「業績が悪い会社」ではありませんでした。
一番困るのは、
「何も情報が入ってこない会社」
だったのです。
Case02 銀行へ行けなかった社長
ある会社は、資金繰りが急速に悪化していました。
社長もそのことは十分理解していました。
銀行へ相談した方がいいことも分かっていました。
しかし、
相談できませんでした。
理由は単純です。
「何を言われるか怖かった。」
「追加融資を断られると思った。」
「会社を見放されると思った。」
だから、
銀行からの電話には、
「もう少し待ってください。」
その一言だけ。
具体的な説明はありませんでした。
当然、銀行は状況を把握できません。
資料もない。
資金繰り表もない。
改善計画もない。
結果として、
銀行は最悪のケースを想定して動かざるを得なくなります。
私はこのような案件を何度も見てきました。
銀行は何を知りたいのでしょうか
実は、
銀行が最初に知りたいのは、
「返済できますか?」
ではありません。
知りたいのは、
「社長は、これからどうしようと考えているのか。」
です。
例えば、
・資金繰りはあと何か月持つのか
・赤字になった原因は何か
・改善できる見込みはあるのか
・スポンサー候補はいるのか
・会社を残したいのか
・事業譲渡も選択肢なのか
このようなことを整理して話してもらえるだけで、
銀行は次の検討に進むことができます。
銀行にも説明責任があります
銀行は慈善事業ではありません。
預かった預金を守る責任があります。
だからこそ、
融資を続けるのか、
条件変更を検討するのか、
企業再生を支援するのか、
あるいは別の選択肢を考えるのか。
その判断には、
社内で多くの説明が必要になります。
担当者一人では決められません。
支店長。
本部。
審査部。
企業再生部署。
案件によっては役員会。
多くの人が関わります。
つまり、
銀行担当者も「説明できる材料」を必要としているのです。
「悪い情報」より「情報がないこと」が一番困る
企業再生の現場で何度も感じたことがあります。
銀行は、
悪い決算だから困るのではありません。
赤字だから困るのでもありません。
一番困るのは、
何も分からないこと。
突然、
「今月の返済ができません。」
と言われても、
銀行は動けません。
だからこそ、
早い段階で現状を共有することが重要なのです。
私たちがお手伝いできること
「銀行へ何を説明すればいいのか分からない。」
この相談は、とても多くいただきます。
決算書だけで十分なのか。
資金繰り表は必要なのか。
スポンサー候補の話をしていいのか。
どこまで話すべきなのか。
こうした疑問を整理し、金融機関との対話を円滑に進める準備をお手伝いすることも、企業再生では重要な役割だと考えています。
元都市銀行・企業再生担当として思うこと
銀行は敵ではありません。
もちろん、銀行にも立場があります。
しかし、
銀行も、
会社を潰すために仕事をしているわけではありません。
一番困るのは、
「相談が遅れること」
なのです。
企業再生は、
金融機関、
経営者、
スポンサー企業、
専門家が、
同じ方向を向いて初めて前へ進みます。
その第一歩は、
勇気を出して現状を共有することです。
企業再生の重要性
企業再生は、単なる資金繰りの問題ではありません。
経営戦略の見直しが必要です。
市場の変化に対応するための柔軟性も求められます。
新しいビジネスモデルの構築が、
持続的な成長を実現します。
そのためには、
専門家の支援が不可欠です。
私たちは、
その支援を通じて、
企業の価値を高めるお手伝いをしています。
具体的なアクションプランを策定し、
実行に移すことが重要です。
次回予告
第3回 企業再生はどのような流れで進むのか
~スポンサー型事業再生の全体像と、なぜプロジェクトマネジメントが重要なのか~
企業再生は、一人の専門家だけで完結する仕事ではありません。
金融機関、スポンサー企業、弁護士、公認会計士、税理士など、多くの関係者が関わるプロジェクトです。
次回は、企業再生がどのようなステップで進み、それぞれのフェーズで何が行われるのかを、実務の流れに沿って分かりやすく解説します。
この記事の執筆・監修
柴田 義治(経営実行支援株式会社 代表取締役)
元メガバンク出身。不動産、IT、製造、介護など7つの業界で代表・役員等を歴任。48億円規模の企業再生や7件のM&A実行・PMIなど、修羅場での現場伴走型支援を強みとする。



